Q.重症化リスクの低い子どもへの接種は必要なのでしょうか?(6歳と9歳の子どもの母)
医学的な優先順位としては、高齢者と基礎疾患を持っている大人への3回目の接種、そして基礎疾患のある子どもへの接種であり、健康な5~11歳は最後になります。健康な子どもであっても、ワクチンを打つメリットがデメリットを上回るので打つほうがよいです。ただ、ひとりひとりでみると新型コロナに罹っても熱も出なかったかもしれない子どもが、ワクチン後に熱が出るということは起こります。そうであれば迷って当然のことですから、納得していない中で同調圧力を感じて接種するものではないと思います。
現在の新型コロナのワクチンは、アルファ株の時までは感染予防効果が非常に高かったので、少しでも多くの子どもたちが接種をして集団免疫を作ることが、子どもたちの日常を取り戻すことになり、基礎疾患を持っている子たちを守ることにもつながるという理屈が通るものでした。しかし、オミクロン株に対しては、重症化を防ぐ効果は期待できますが、感染を防ぐ効果はあまり期待されていません。ブレイクスルー感染が数多く起きている現状、集団の中で流行を防ぐ効果はなくなってしまっています。
大事なことは、打っていない子どもが、いじめや差別の対象にならないようにすること。親も「あそこの親は子どもに打たせてないみたいだよ」というように、差別を助長することを言わないようにすることも重要です。その意味でも、学校での集団接種は直ぐにわかってしまうのでやめてほしいです。
Q.小5ですが、体が大きい(155cm・45kg)です。子ども向けワクチンは、大人より量が少ないと聞きますが、それでも十分に免疫がつくのでしょうか?(11歳の子どもの母)
大丈夫です。効き目が強いワクチンなので十分に効果はあります。
Q.喘息やアレルギーなどがあり、日常的に薬を服用している子どもも接種して問題ないのでしょうか?(7歳女子の母)
問題ありません。アレルギーは相手が決まっており、ピーナッツアレルギーの人が卵を食べても問題ないように、そのアレルギーを起こす原因がワクチンの中に入っていない限り心配ありません。
ワクチンの中に含まれるアレルギー成分は、ポリエチレングリコールとされています。多くの薬剤や化粧品などに含まれており、めったにアレルギー反応を起こすことはないのですが、過去に薬や注射をした時に強いアレルギー反応が出た人の中には、ポリエチレングリコールが原因だったという人がいるかもしれませんので、問診の時に申告して医師に相談してください。
アナフィラキシーのような強いアレルギー反応は、接種して15~30分以内に起きますので、接種した場に経過観察でとどまっていれば、すぐに対応してもらえます。ごく一部、4時間後までの間にも起こることがあります。なので、アレルギーを心配される人は、4時間くらいまでは大人がそばで一緒にいてあげる環境を作ったほうがよいでしょう。親御さんが接種日に休みが取れて、一緒に付き添う形で接種を受けるべきだと思います。
―――最後に、森内教授は「疑問や誤解があれば正しいことを知ったうえで冷静に判断してほしい」と保護者に呼びかけた。親の不安を、子どもが感じ取ってしまうこともある。それぞれの家庭事情に伴い、親がワクチン接種のメリットとデメリットを見極めてから子どもに働きかけたい。(AERAdot.編集部・岩下明日香)