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 YouTubeの仕事をしていると、若い感性に触れていなければならない、という使命感が常にあります。しかしながら、肉体や脳は確実に老いていて、自分自身が25歳、28歳、32歳のときにガクンと何か歳をとった感覚になりました。肌質や体質や体型の変化が起こり、脂っぽいものを食べられなくなったり、徹夜で働けなくなったり、少しの運動で体の調子が悪くなるなどの、若い頃には感じなかった感覚が起こります。

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 もし私が若者向けのYouTubeチャンネルの演者であったら、この感覚は非常に大きなハンデとなるでしょう。ターゲットと共通点が少なくなればなるほど、運営が難しくなるからです。仮に、目の前にYouTubeを始めようとする人がいて、何かアドバイスを求められた場合、自分自身の年齢を意識することを伝えます。YouTubeは何歳からでもスタートできますし、上限の年齢制限がありません。自分自身の年齢は問題ではないのですが、ターゲット層やチャンネルの内容やコンセプトを決めるときに重要な要素だからです。

 YouTuberとしてコンテンツを制作していると、さまざまな壁にぶつかります。まずは年齢の壁です。とくに顔出しをしているYouTuberには深刻な問題で、皆さんがYouTuberと聞いてイメージするようなマルチ系と呼ばれるジャンルのYouTuberは、約30歳で年齢の壁が訪れます。一般的に言えば、30歳は仕事の幅が広がったり、キャリアが楽しくなる年齢ですが、マルチ系YouTuberの場合は異なります。

 30歳は15歳からすれば、ずいぶんな大人だと思います。中高生とは思いのほか共通項が少なく、ジェネレーションギャップが顕著になる年齢です。この年齢の壁は音楽業界にも存在し、作曲する人は「10代や20代前半までの感性をいかに鮮明に保つか」を意識するそうです。10代や20代前半は多感な時期で、恋愛などをテーマにした曲でも、他の年齢よりも気持ちが強く共感度が高いためだそうです。30歳の大人にとって、10代はもはや思い出になりつつあり、現在の10代の子とはカルチャーが異なります。この感覚の差が年齢の壁につながります。

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