とくにYouTuberの場合、他に10代や20代前半のチャンネルも多く存在するので、ファンがより自分の年齢の近いチャンネルに移動してしまうパターンもあります。メイク系動画にもこの壁は存在します。ターゲット層を自分の年齢に近づけるか、自分の感性をターゲット層に近づけるなどして切り抜けますが、チャンネルが無数にあるYouTubeの世界で人気を集めるのは非常に大変です。若年層向けに顔出しで投稿するジャンルは、年齢の壁が最も大きな壁になります。もし、YouTubeを始めようとしている場合、年齢の壁は意識すべき問題だと思います。

 逆に、年齢の壁があまり存在しないジャンルもあります。一つが、中高年向けのコンテンツです。芸能でも音楽でも、中高年のファンは、10年以上継続している場合が多くあります。音楽でいうと、演歌歌手のファンは、とても根強く長く同じ歌手のことを応援します。目まぐるしくコンテンツを消費する年齢層ではなく、スパンが長い(おそらくは体感時間の違いがある)ため、長期的な人気を獲得することができます。自分の年齢が40歳を超えている場合、コンテンツも40歳以上向けに制作すると長期的な活動をしやすいです。

 なぜか、YouTubeやSNS等での発信というと、個人も企業も若者向けへのアプローチを重視しがちですが、人口や所得の多さ、流動性の低さを考慮すると、中高年やシニア層に向けてアプローチする方が盤石なコンテンツになります。ペット動画や料理動画、筋トレやスポーツ動画など、演者以外の要素が強いコンテンツも、年齢の壁が訪れにくいジャンルです。年齢の壁は、感性の違いが原因で起こるため、「年齢関係なくそのことについて話せる」ようなジャンルの場合は、壁に当たりにくいと思います。年齢の離れた人同士でも話が盛り上がる趣味などがあれば、それを元に息の長いコンテンツを制作できます。

 年齢を意識する、というと「歳だから」「もう〇〇歳だから」とマイナスなイメージを持たれることがありますが、そうではなく、自分がどのフィールドで戦えるのかを正確に把握するのが重要です。年齢は、巻き戻すことができません。年齢の壁に当たった時は、無理に時を戻そうとするのではなく、冷静にターゲット層の選定をすべきです。

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