●乾麺業界の「花咲か爺さん」と呼ばれている
――プロデュースした乾麺「池森そば」は発売開始した一昨年秋から現在までで120万食を販売し、ある雑誌では「上半期ヒット商品」にも選出されました。予想していましたか?
予想なんてできませんよ!通常、乾麺って一商品あたり年間で売れるのは4~5万食ほどみたいなので、それを考えると、すごい数字です。奇跡です。池森そばの特徴は、蕎麦粉の割合が高配合な点です。今でこそ、蕎麦粉の割合が二八、十割の乾麺って増えてきていますけど、少し前までは、良くて5割、少ないと3割みたいなのが普通でした。最近は他のメーカーさんからも高配合の新商品がどんどん出てきたように感じています。もしかしたら、池森そばが話題になったことも影響していたり(笑)。互いの相乗効果もあって良い方向につながったのかもしれません。
――乾麺業界の反応はいかがでしたか?
喜んでくれています。「池森そば」が話題になったことはめちゃくちゃ嬉しいですが、やっぱり乾麺業界全体が活気づいたことのほうが嬉しい。これまで蕎麦の乾麺って全然注目されていなかったんです。スーパーなどでは、うどん、そうめん、パスタと比べると、蕎麦って地味だし、商品も少ないので、どうしても目立たない端っこのほうに並べられていたんですが、今では、他と遜色なく扱ってくれています。「マツコの~」の影響で、スーパーから乾麺が消えたなんてこともありましたし。今では、僕は周囲の人から「乾麺業界の『花咲か爺さん』」って呼ばれています。せめて「花咲かおじさん」にしてほしい(笑)。
●いつかは蕎麦で世界進出
――「蕎麦好き」として、今後、計画していることがあれば教えてください。
自分がスピーカーとなって、蕎麦の魅力をどんどん発信していくっていうのはまず大前提。そのうえで、いつかは自分で蕎麦屋をやってみたいと思っています。2020年から蕎麦に特化したYouTube番組もスタートさせたんですが、そこで色んなレシピを考案しています。例えば、蕎麦をペペロンチーノ風にして焼いてみたり、韓国やタイで人気のポピュラーなスープとめんつゆを混ぜてつけそばにしたりなど、少し変わり種のメニューが中心ですが「こんな蕎麦屋ありそうでなかった」っていう、そういうお店を作りたい。最初はお店をやるなんて冗談で言っていたのに、最近では「この料理、お客さんならどう思うかな」みたいな現実的な視点で考えるようになりました。まずは東京でスタートさせて、ゆくゆくは丸亀製麺のように世界中にも店舗を増やしたい。やっぱり、夢は果てしなく大きいほうが人生は楽しいですから。「日本の蕎麦すごい!」って世界中の人に思ってもらいたいです。