2月11日に行われた巨人の紅白戦で、若手のホープたちが登板した。紅組の先発で登板した大卒2年目右腕・山崎伊織は1回3安打3失点。この時期だから結果を問う必要はないだろう。東海大4年時だった20年6月に右肘のじん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を受け、プロ1年目の昨季はリハビリに専念。今キャンプは1軍スタートで、2年半ぶりのマウンドだった。

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 一方、白組で先発登板した高卒3年目右腕・堀田賢慎は強烈にアピールした。ロッテ・佐々木朗希、ヤクルト・奥川恭伸、オリックス・宮城大弥と同世代の本格派右腕。ドラフト1位で入団したが、1年目の新人合同自主トレで右肘に違和感を訴え、4月にトミー・ジョン手術を受けた。同年オフに育成契約を結んだが、復帰3戦目のセガサミー戦で自己最速の155キロを計測。185センチの長身から浮き上がるような軌道の直球は元・阪神の藤川球児を彷彿とさせる。この日は自慢の直球に加え、昨季レギュラーをつかんだ松原聖弥をチェンジアップで見逃し三振に。球速差のある精度の高い変化球に松原が驚くほどだった。

 さらに、ドラフト3位ルーキー・赤星優志投手も白組の3番手として登板し、1回1安打無失点の快投。先頭の中山礼都の左前打を許したが、続く石川慎吾から空振り三振を奪い、スタートを切っていた中山も盗塁死となり併殺に。岸田行倫も右飛に仕留めた。

「山崎は久々の実戦でしたが、投球内容は決して悪くない。キレ味鋭いスライダーは1軍でも十分に通用します。首脳陣もじっくり育てる方針を打ち出している。ファームで実戦登板を重ねて夏場以降に出てくれば。堀田は将来のエースになれる逸材です。とにかく球が速い。150キロ中盤の直球を投げ込めるスケールの大きい投球は魅力十分。山崎と同様に故障明けなので段階を踏んで慎重に仕上げていくとみられますが、早期で支配下昇格の可能性が高い。赤星は新人の中で完成度がピカ一。制球が良く、直球も球威十分で押し込める。先発、中継ぎと起用法が幅広い投手です」(スポーツ紙記者)

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若手の台頭で排水の陣のFA組