松屋銀座のイベントでしか味わえない須藤さんのオリジナルチョコのペアリングが「りんごのショコラ×シードル」だ。小泉さんが青森出身の須藤さんに「青森のシードルに合うチョコ」を相談。完成したのが、シードルを作る際にできる澱(おり)を使ったものだった。だが、ペアリングのシードルが難航。増田さんが数種のシードルを揃え、須藤さん、BAR木挽町の中野さん、小泉さんの4人で探ったが、全て「合わなくはないけど合うこともない」程度。そんな中、中野さんの店にあった英国のシードルを合わせると……。

「これがマリアージュなんだとすごくわかりやすかった。まったく違いました」(小泉さん)

■両方の良さが上がる

 カカオを使うチョコレートは味が重めのため、生食用のりんごを使った青森のシードルだと完全にチョコの味わいが勝ってしまうという。英国原産のシードルは、生食用でないりんごを最低でも10種使っていた。

「このペアリングならシードルもおいしい、チョコもおいしい。一緒に味わうと化学反応のように両方の良さが一気に上がってきます」(増田さん)

 そんな「相乗効果がないと意味がない」(須藤さん)というペアリング。家であれBARであれ、「チョコとお酒を組み合わせるとこんなに楽しいんだという発見がある」(同)のは間違いなさそうだ。(フリーランス記者・坂口さゆり)

AERA 2022年2月14日号より抜粋