少しずつ人気の出てきている「チョコ×お酒」の組み合わせ。バレンタインシーズン限定で味わえるチョコレートやイベントの開催もあるそう。AERA 2022年2月14日号の記事を紹介する。
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バレンタイン商戦真っただ中の今、お酒とチョコのケミストリーを体験できるチャンスだ。東京・松屋銀座8階に「チョコ×お酒のマリアージュBAR」が登場。銀座に店舗を構える「数寄屋橋サンボア」のバーテンダー・津田敦史さんと会員制バー「BAR木挽町」のバーテンダー・中野修二さんがベストマッチのお酒とチョコを提供(日によって交代)。チョコはすべて、ショコラティエ・須藤銀雅さんが手がけるBAR専用チョコ「Airgead」のもの。「どんなにお金を積まれても一般販売はしない」(須藤さん)というチョコだ。
イベントは、松屋銀座の菓子担当バイヤー、小泉翔さんが企画。酒類担当バイヤーの増田晃夫さんと作り上げた。昨年3月に菓子担当となった小泉さんがチョコを勉強する中、たまたまネットで須藤さんに行き着いた。小泉さんは言う。
「須藤さんが一番大事にしているBAR専用のチョコを、取引先のバーテンダーの方にも来てもらいペアリングを提供できれば他にはない取り組みになるのではと話を広げていきました」
須藤さんのチョコへのこだわりは「香気(こうき)成分」だ。
「味わいは舌で感じる味覚のほか、香りが重要です。香りが味わいの8~9割くらいを決める。『チョコの香り』という単体の成分があるわけではなく、大体300~500種類の色々な成分が合わさってチョコらしい香りになります。同じような香気成分が入っている食材は何か、という化学的な方向から考えて作ることも多いです」(須藤さん)
味噌、野生黒蜂蜜、昆布、ポルチーニ、バナナ……など、現在21種類のチョコを揃える。
須藤さんは16年の独立時にBAR専用のチョコ専門店で勝負に出た。独立前に知り合いのバーテンダーから頼まれた「お酒に合うチョコ」として作った「味噌」が思った以上に引きがあり、「どうせなら尖ったことを」とBAR専門店に。独学で研究する中、ペアリングにも方程式があるのではと思い始め、行き着いたのが香気成分だった。現在、弘前大学とチョコの香気成分について共同研究する。