
誰も挑戦していないことにこだわり続けたい──。
平野歩はそう語ってきた。2018年11月、スケートボード挑戦を表明。平野本人が「野球とバスケほど違う」という二つの競技の両立を目指した。
北京五輪への準備期間が減るため、技術面では不利になると見られていた。だが、足が板に固定されていないスケートボードのトレーニングを通して重心を捉える能力が磨かれた。スノーボードの着地や雪面を加速する動きなどに生きた。トリプルコーク1440を世界で唯一完成。2大会連続銀メダルだった五輪でついに頂点に立った。
「最後にあのパフォーマンスができる強い精神力も、二刀流への挑戦の答えの一つだったと思います」(野上さん)
(編集部・深澤友紀)
※AERA 2022年2月21日号より抜粋