順天堂大学医学部教授小林弘幸医師
順天堂大学医学部教授小林弘幸医師

 日常生活で、吐き気や倦怠感、頭痛、肩こり、動悸、めまい、不眠などに悩まされていませんか。これらは、自律神経が乱れているとおこりえる症状の例です。不調を感じたとき、自律神経を整える努力をするだけで毎日をラクに過ごせるようになることもあります。順天堂大学医学部教授の小林弘幸医師は長年、自律神経の研究を続けてきました。その集大成『結局、自律神経がすべて解決してくれる』(アスコム)から一部を抜粋してお届けします。

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■「変化」が苦手

 自律神経とは、心身の機能をバランスよくコントロールするシステムです。具体的には、内臓の働きや代謝、体温などの機能を調節するために、意思とは関係なく24時間働き続けているものです。この機能が乱れてしまうと、さまざまな不調が引き起こされることがわかってきました。

 小中学生が訴えるようなめまいや頭痛をはじめ、一般的に50歳前後の女性に多いとされる更年期障害などから、がんの増殖や転移に関係しているという研究もあります。

 だからこそ、世代を問わず、「自律神経が喜ぶ生活」を送っていくことがとても大切だといえます。

 ですが、自律神経はちょっとしたことで、驚くほど簡単に乱れます。ちょっと怒ったり、不安を感じるだけで、自律神経のシステムはバランスを崩してしまうのです。

 自律神経が乱れる要因は、精神的なストレス、過労による肉体労働、睡眠不足、偏った食事などといわれています。

 人生には、いろいろな変化があります。人事異動や引っ越し、親しい人との別れなどはもちろん、一般的には「おめでとう」と声をかけてもらえるような出来事、たとえば進学や就職結婚や出産なども生活の変化を伴います。

 そんな変化があったとき、うれしいことなのになぜか疲労感を覚えたり、おなかの調子が悪いことが続いたり、眠りが浅くて夜中に何度も目が覚めてしまったり、なんてことはありませんか?

 現在、なんらかの不調を感じているとしたら、それは「自律神経を整えよう」という体からのサインでもあるのです。

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小林弘幸

小林弘幸

小林弘幸(こばやし・ひろゆき) 順天堂大学医学部教授。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。92年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科などの勤務を経て順天堂大学小児科講師、助教授を歴任。腸と自律神経研究の第一人者。『医者が考案した「長生きみそ汁」』など著書多数。テレビなどメディア出演も多数。

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