【2012年世代】

 ひとつ上の2011年世代も三冠馬オルフェーヴル、短距離マイル路線の絶対王者ロードカナロアがいる強豪がひしめく世代だったが、層の厚さでは12年世代が上だった。

 皐月賞と菊花賞の二冠を制したゴールドシップは、3歳時の有馬記念でルーラーシップやエイシンフラッシュら年上相手に勝利。古馬になってからも宝塚記念の2連覇に天皇賞(春)を勝ち、個性的なキャラも相まって競馬ファンの間で人気を博した。

 三冠牝馬ジェンティルドンナは、ジャパンカップで(馬体がぶつかるなどの遺恨を残したものの)オルフェーヴルに競り勝った。そして翌13年にジャパンカップ連覇を果たすと、14年にはドバイシーマクラシックで海外G1制覇を達成し、ラストランの有馬記念でもふたつ下のトゥザワールドやひとつ下のエピファネイアらを退けた。

 3歳時はダービー2着に天皇賞(秋)2着だったフェノーメノは古馬になって天皇賞(春)を連覇。マイル~中距離路線ではジャスタウェイがドバイデューティーフリーで圧勝したことで国際クラシフィケーション単独1位となったほか、安田記念と天皇賞(秋)を勝っている。

 牝馬ではジェンティルドンナ以外にもヴィルシーナとストレイトガールがそれぞれヴィクトリアマイルを連覇。ストレイトガールはスプリンターズステークスにも勝利している。サンビスタもダートのチャンピオンズカップを制覇した。ダート路線にはチャンピオンズカップや地方交流G1で数多くの勝利を挙げたホッコータルマエもいた。

 この世代のすごさは、天皇賞(春)を3連覇(フェノーメノとゴールドシップ)、ヴィクトリアマイルを4連覇(ヴィルシーナとストレイトガール)、天皇賞(秋)を2連覇(ジャスタウェイとスピルバーグ)、チャンピオンズカップを2連覇(ホッコータルマエとサンビスタ)といったように、多くのG1を別々の馬で連勝していたことからも分かっていただけるだろう。

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