春に無敗でNHKマイルカップを制したエルコンドルパサーは、秋初戦の毎日王冠でひとつ上のサイレンススズカに敗れたものの、続くジャパンカップでは天皇賞(秋)を制したふたつ上の女傑エアグルーヴを破った。

 さらに有馬記念では前年に無敗で2歳王者となったものの、この年は故障に苦しんでいたグラスワンダーがメジロブライトを2着に下して復活を遂げた。

 翌99年にはダービー馬スペシャルウィークがさらにパワーアップ。天皇賞の春秋連覇を達成したほか、ジャパンカップでは凱旋門賞馬でエルコンドルパサーを負かしたモンジューを返り討ちにした。そのスペシャルウィークを、グラスワンダーは宝塚記念と有馬記念で2度に渡って撃破している。

 ちなみに有馬記念にはひとつ下の99年世代の最強馬で、のちに世紀末覇王と呼ばれたテイエムオペラオーや、その良きライバルだったナリタトップロードなどもいたが、彼らでさえ完全に脇役扱いだったほど98年世代の存在感は別格だった。

 なお、この世代は天皇賞や有馬記念などの王道路線以外も豊作だった。99年の安田記念でグラスワンダーを下したエアジハードは、秋のマイルチャンピオンシップも制して最強マイラーに。アグネスワールドはフランスでアベイドロンシャン賞、イギリスでジュライカップと欧州短距離G1を2勝する快挙を達成した。さらにクラシックではスペシャルウィーク、セイウンスカイとともに三強と呼ばれながら無冠に終わったキングヘイローも、紆余曲折の末に2000年の高松宮記念を制してG1馬となった。

 牝馬では桜花賞と秋華賞を制したファレノプシスが、その2年後に引退レースとなったエリザベス女王杯でひとつ下のフサイチエアデールやトゥザヴィクトリーを破って有終の美を飾った。さらにダート路線ではウイングアローが2000年にフェブラリーステークスと第1回ジャパンカップダートの両G1を勝つなど、まさに多士済々の世代だった。

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“層の厚さ”が抜群だった世代は?