そして、エネルギーについても、原子力発電について賛否を明確にするのは危険なので、あいまいにしているのだ。
実は、70、80年代までは、自民党の議員も、野党の議員も、電力の多くを原子力発電に委ねるべきだ、と公然と表明していた。
東日本大震災以前は、民主党の首相であった菅直人氏も、何と原子力発電50%を打ち出していたのである。だが、東電福島原発の大事故が起きると、原子力発電ゼロに切り替わった。
震災以降、国民の多くが原発ゼロを求めるようになり、各地で反原発の市民運動が起きた。
岸田内閣では、一応、2030年度には再生可能エネルギーを36~38%、原発20~22%と打ち出しているが、自民党議員の多くは態度があいまいなままであり、岸田首相の本気度も判断できない。一体、どうするつもりなのか。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2022年3月4日号