東京大学の安田講堂(左)と京都大学の時計台
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 難関国立大の学校推薦型選抜と総合型選抜の結果が出そろった。多くの大学で募集人員に満たず合格者が減ったのは、コロナ禍の影響に加え、大学側の慎重な姿勢も背景にあるようだ。

【難関国立10大学 学校推薦型選抜・総合型選抜の結果はこちら】

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「今年の学生は高校2年生のころからコロナ禍に見舞われ、昨年以上に厳しい状況にあった。課外活動が制限されるなどで出願減も予想していたが、そうした制約があるなかで素晴らしい学生を獲得できた」

 15日にあった合格者発表のオンライン会見で、東大の武田洋幸副学長はこう述べた。ただ、各大学の合格者数を見ると、やはりコロナ禍の影響があったように映る。

 前年に比べて志願者、合格者ともに減らした大学が多く、東大は志願者は27人、合格者も4人減った。募集人数に対する合格者数の割合を示す募集充足率は、ほとんどの大学で100%を切る。

 なかでも京大は志願者が57人、合格者は23人と減少ぶりが目立った。追手門学院大学客員教授で教育ジャーナリストの西田浩史氏はこう分析する。

「西日本には京大と並ぶランクの“旧帝大”が多いため、例年来るべき優秀層が他大学に流れる傾向を受けやすいが、やはりコロナの影響で受験生が推薦要件にある課外活動を充実させられず、大学が求めるレベルに満たない学生が多かったのでは。これは、合格者のレベルのハードルを下げてまで募集枠を埋めようとは思っていない、というメッセージでもある」

 国立大では推薦入試の経験が浅いことも影響しているという。

「推薦入試の歴史が長い私大に比べ、合格者が入学後4年間でどんな成績を残したかなどの追跡データが少ないため、他の大学の様子を見ながら、という慎重さがうかがえます」

 学校推薦と違い、総合型選抜については、合格者の入学辞退がありうる事情も関係している。そう西田氏は分析する。

「総合型選抜は一般入試より合否が読みづらく、対策できる高校や塾も少ない。推薦入試に受かっても、一般入試で希望する学部に合格すれば、そちらへ入るケースも出てくる」

 その結果、大学側が合格を出すのに消極的になっているという。

 入学者の多様性の確保という視点で行われる選抜方法のはずが、「偏差値主義から抜け切れていない」とも指摘する。

「推薦入試は一般入試に比べて評価基準が明確ではなく、結局、教育環境が充実するトップ進学校から合格者が出る。門戸が広く開かれているようで、実は狭いのが実情です。受験者の不安を取り除くためにも、求める人材像をより明確化することが求められるでしょう」(西田氏)

(本誌・秦正理)

(週刊朝日2022年3月4日号より)
(週刊朝日2022年3月4日号より)

週刊朝日  2022年3月4日号