2021年のマイナーリーグ再編まではAAA級扱いとなっていたメキシカン・リーグで、プレーを続けようと決めた理由は何か? これは想像でしかないが、おそらくは「無様な形では終われない」という“キング”としてのプライドだろう。

 もう1つ考えられるのは、まだ幼い息子に「カッコいい姿を見せたい」という父としての思いだ。ヤクルト最終年となった2019年には、しみじみと「息子に尊敬され、こうなりたいと思われるような父親にならないといけない。まだ生まれたばかりだから、息子が分かるようになるまでプレーを続けるのは難しいかもしれないが、ケガがなければ不可能じゃない」と話していたこともあるが、その息子は今年で3歳になる。

 26歳で日本にやってきたバレンティンも、今年7月で38歳。メキシコの地で今一度“キング”としての威厳を取り戻し、息子に「カッコいいパパ」の姿を見せることができたなら、その時はあっさりとユニフォームを脱いでも不思議ではない。今年が“ラストシーズン”となる可能性も大いにある彼に、遠く離れた日本から心よりのエールを送りたいと思う。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。

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