日経平均4万円超えはなるか。写真はイメージ(GettyImages)
日経平均4万円超えはなるか。写真はイメージ(GettyImages)
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 チャンスなのか、ピンチなのか。コロナ禍、史上空前の財政出動と金融緩和によって日米欧で刷り散らかされたマネーの総額は約1600兆円にも上る。あり余るマネーはどこを目指すのか。不動産コンサルタントの長嶋修さんは『バブル再び 日経平均株価が4万円を超える日』(小学館新書)で、市場にあふれたマネーが日本に流入、不動産などが高騰する「資産バブル」が起きる可能性が高いと指摘する。長嶋さんにその根拠を聞いた。

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 バブルが起きる理由は至ってシンプルで、「金余り」です。世界中にお金があふれていますが、リーマン・ショックのときと違って金融システムは崩壊していません。米連邦準備制度理事会(FRB)、欧州中央銀行(ECB)のバランスシートの合計は2千兆円。リーマン・ショック以前は400兆円未満だったので、あのときから1600兆円も資産が増えているのです。

 こうした大量のマネーが日本に流れ込んで、資産バブルを引き起こすのです。なぜ日本なのか。それは30年以上続いたデフレの影響で「割安感」があるからです。

 例えばハイエンドクラスのマンションの価格を見てみます。東京のマンション価格は2015年時点ではニューヨーク、ロンドンなどはもちろん、香港、上海、台北よりも安くなっていました。ところが、この数年間、じわりじわりと価格差を詰めてきています。

 商業用不動産も同じ傾向です。世界的な不動産サービス会社、ジョーンズ・ラング・ラサールの調査を見ると、2020年第2四半期の商業用不動産の投資額は、世界の主要都市がマイナスになっているのに、東京への投資額は194億ドル(約2兆93億円)に増え、トップに躍りでています。

■高騰する都心部の不動産価格

 割安感はさらに増していくかもしれません。円安が進行しているからです。国際決済銀行(BIS)によると、2022年1月の日本の実質実効為替レートは1972年以来の低水準。円の実力は30年ぶりの低さです。

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膨れ上がるのは「不動産資産」