ただし、今回の資産バブルは1990年のバブル期のように、世の中の景気が良くなったり、給料が上がることはありません。
あくまで膨れあがるのは不動産などの資産です。その資産についても、以前のバブル期のように、どんな資産でも高騰していくのかといえば、それも違います。バブルは優良資産に集中し、「局地的」「部分的」に起こっていきます。
例えば不動産市場はいま「東京・大阪」「地方の主要都市」「その他の地方都市」と3極化していますが、価格が高騰しているのは一部の不動産です。
すでに東京23区の不動産価格は1990年のバブル期をしのぐ高値になっています。それ以外は当時の水準に遠く及んでおらず、いかに東京都心一極集中が進んでいるかがわかります。「都心」「駅近」「大規模」「タワーマンション」に代表される高額物件(全体の10~15%)の価格はバブルでさらに高騰していきます。
■郊外の不動産は売ったほうがいい
一方、住宅全体の7割を占める、かつてのベッドタウンの不動産価格は徐々に下落していきます。
首都圏でいうと都心から30~40キロメートル圏内、相模原、町田、さいたま、柏、船橋といったあたりでも厳しいでしょう。
そもそも住宅の需要自体が減っています。大挙してベッドタウンの住宅を購入した団塊の世代は200万人いましたが、いま、住宅を求めるボリュームゾーンの30代半ばの人口は120~130万人程度、団塊の世代の6割しかいません。
しかもこの世代の多くは「共働き世帯」。住宅選びも「生活利便性」が最優先で「都心指向」「駅近指向」なので、ベッドタウンに魅力を感じません。
この地域の不動産は将来、自分や親族が住む予定がなければ、早く売った方がいいでしょう。空き家にすると傷み、売るのも貸すのも難しくなります。周囲に空き家が増えれば、ますます売れません。
そして、都市部でもベッドタウンでもない「その他の地域」の不動産(10%から15%)に将来性はありません。今後も価格が下がり続け、限りなく無価値になっていきます。固定資産税や維持費を負担に思うなら、価格がマイナスであっても即座に手放す方が賢明です。