■コロナ移住は限定的

 ただ、相続放棄するといっても簡単にはいきません。現在の制度では、不動産だけ相続放棄することはできないからです。2023年には、土地を手放すための新制度「相続土地国庫帰属制度」がスタートしますが、この制度でも、建物は解体しなければならないし、浄化槽などの埋設物も撤去する必要があります。解体・撤去費用がかかる上に、審査手数料や10年分の土地管理費用相当額を支払って、ようやく手放せるのです。使い勝手がよくありません。

 ちなみにコロナ禍でリモートワークが普及したことから「移住」も話題になりましたが、これも限定的な話です。

 コロナ禍の20年1月から21年9月までの間に東京23区で人口が2万人減ったとニュースに出ていましたが、内訳を見ると日本人は2・9万人が増えています。外国人居住者が4・9万人減ったので、差し引き「2万人減」になっていただけです。

 こうして資産バブルは東京を中心に、東京圏、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌へと波及していきます。地方でも「大都市部」「駅前・駅近」「大規模」「タワー」物件が高騰する傾向は同じです。県庁所在地の不動産が、県庁所在地で中心部の不動産が、中心部でも大規模物件の価格が高騰します。

■年代別の処方箋

 では、資産バブルに私たちはどう対応したらいいのでしょうか。世代別に見てみましょう。

 50代は先が見えています。半分くらいの人が住宅ローンを抱えていると思いますが、これから金利が上昇します。変動金利で返済している人は、固定金利に変更しておいてください。

 40代は不動産を購入している人も多いはずです。「駅近」「タワマン」などの売れる不動産以外は売っておいた方が得ですが、子育てなどの問題もあります。いまの物件に問題や不満がなければ、住み続ける手もあります。

 30代でこれから不動産購入を考えている人は、先に述べた不動産市場の3極化を頭に入れてください。ただし、将来は仕事のAI化、ロボット化が進んで雇用形態自体が激変する可能性が高いので、長いスパンで見て「稼ぐ力」「生き抜く力」を身につけておくことが大切です。

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一層進む「貧富の差」