個人でできそうなことは、やっている。でも、ウイルスはなくならない。人の生き死にに関わる重要なことなのに、政府もメディアも本気で対策を打っているとは思えない。これ以上、個人でいろいろ考えても無意味のような気さえしている。
もしかして、政府の中の人も、メディアの中の人も、あたしとおなじく、自分個人のことで頭がいっぱいなのかと思う。
もちろん、あたしたち個人と彼らは違う。彼らには彼らの職責というものがある。けど、それより大きな時代の流れみたいなものが、物事を深く考え予想や予知をすることを拒んでいるのかもしれない。
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
※週刊朝日 2022年3月11日号