室井佑月・作家
室井佑月・作家

 作家・室井佑月氏は、政府やメディアが発信する新型コロナウイルス対策について、本気の姿勢ではないと苦言を呈する。

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 政府やその意向を発表するメディアは、なにも考えていないのかもしれない。ということは、新型コロナウイルス一つ取り上げてもはっきりしてきた。

「暖かくなったらコロナはなくなる」と適当なことをいって、国家予算を使い感染拡大の下地を作った政治家も、テレビに出て「コロナはただの風邪」といっていた識者も、そういった発言を安易に取り上げ拡散させたメディアも、コロナによる死者数が激増したその後も、問題の発言について撤回したりはしてない。いったらいいっぱなしだ。

 こういったことは、もうずいぶん前からつづいている。15年くらい前は、「社会に影響のある誰々さんが間違った発言をしたのに、それを撤回しないとはどういうことだ」といちいち憤りを感じていた。そういった話も、以前はこのコラムでよく書いていた気がする。

 でも、もはやそれはいっても詮無(せんな)いこと。メディアでは、政治家や識者といわれる人が、斬新な言葉を放つことが良しとされ、一部の人々にウケそうなことをいう。そんなのはよくあることで、心にもひっかからなくなってきた。

 それにしても、コロナについてはいつ自分が感染してしまっても仕方ない状況で、メディアで流れている話がデマである可能性があって、それの検証もなく訂正もない、となれば、それはもう観なくていい、読まなくていい、という話になる。

 あたしは一応、メディアの末端構成員、フリーの物書きであるから心配になるけど、末端構成員でしかないので業界の流れを変えるのは無理っぽい。メディアが斜陽産業であると考え、個人でこれから先の老後に備えるしかない。

 これってコロナに対してとおなじであるな、と感じている。

 手洗い、マスク、検査キットや、いきなり熱が出た場合の解熱剤や、自宅待機となった場合に食べられそうな日持ちする食べ物の常備。人と会わなきゃいけない場合も、換気の良さそうな場所を指定している。

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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