逆に若い投手は一気に世代交代を狙わないといけない。いつまでも同じ名前が頂点にいる形では、野球界のさらなる発展はない。オリックスの山本由伸を筆頭に、ロッテの佐々木朗希、ヤクルトの奥川恭伸、オリックスの宮城大弥といった投手はチームの中のエースとしてだけでなく、球界トップを競い合ってもらいたい。
近年は、大学、社会人から入った新人が1年目から活躍している。昨年の阪神の佐藤輝明やDeNAの牧秀悟、広島の栗林良吏らが代表例だろう。アマチュアもプロ並みのトレーニングで、その差はなくなってきている。体がしっかりとできた高卒選手も2、3年で出てくるようになった。だが、一方で3年以上続けて成績を残せる選手は、その中で一握りである。そういった意味でも、佐々木や奥川には注目している。
2023年3月には第5回のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催される。エンゼルスの大谷翔平の出場にも注目が集まると思うが、やはり一流のメジャーリーガーと戦うためには、日本の投手がキッチリ抑え込まないといけない。世代を超えた覇権争いも、日本の野球のレベルを引き上げる。期待して見ていきたい。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2022年3月11日号