杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』など。静岡市で少人数制塾「杉山塾」(http://fancynancy.jp/sugiyamajuku/)を運営中。ツイッターのアカウントは@suginat
杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』など。静岡市で少人数制塾「杉山塾」(http://fancynancy.jp/sugiyamajuku/)を運営中。ツイッターのアカウントは@suginat

■1000円より998円のほうが安く感じる

 逆に、数を少なく感じさせる変換もしばしばみられます。

 たとえば、商品を1000円ではなく、ギリギリ998円に設定すると、たった2円しか変わらないのに、消費者からすると受ける印象がだいぶ違います。

 また、1日の1%は14.4分、だいたい15分です。ですから、勉強しているときなどに、「あと15分」ではなく「あと1%」だけがんばろうと思うと、気持ちがラクになります。それくらい、桁が異なるというのは脳にとって大切な区切りなのです。

 こうした変換を用い、受け取る感覚を増やしたり減らしたりすることで、精神的な満足感を簡単に変化させることができるのです。

■数字の変換をして自分を励まそう

 過去に、運動をしたのに体重が0.1kgしか減らなかったことがありました。

 しかし、言い換えれば100g減ったわけで、つまりは10万mg減ったことになります。

 薬なんて、1mg飲むだけで体全体の調子を変えることができるわけですから、10万mgもの脂肪が減少したと考えると、体内でとてつもないことが起きたように思えます。

 ほかにも、パソコンでWordを使いアイデアを書き出そうとして、たった1ページ弱しか書けなかったとき。36行×40字くらいのデフォルト設定にしてあれば、1ページでも400字詰め原稿用紙3枚以上になります。

 過去に学校の宿題で原稿用紙1枚を埋めるのにどれだけ大変だったかを考えると、すごいことです。

 このように数字の変換を利用すれば、自分を励まし自信をつけやすくなるのではないでしょうか。

■子どもを褒めるときに数字の変換テクを使おう

 親が子どもを褒めるときにも使えそうです。

 たとえば、「三日坊主だった」と挫折した気持ちにさせる言葉よりは、「72時間続いた」という言葉に換える。こうして、とにかく少しずつでも前進しているのだという気にさせることこそが、物事を継続しようという気持ちを奮い立たせる、大切な要素だと思います。

 習慣化させるためのヒントは、脳に良い印象を信じ込ませる、数字の変換のテクニックにあるのかもしれません。

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