ところが、同19日のオールスター第1戦で、6回から全セの3番手として登板した福士は、なんと乱闘相手の大矢とバッテリーを組むことになった。全パのベンチから「大矢さん、足で蹴られるよ」と冷やかす声も上がる。

 だが、福士は「お互いスポーツマンですからね」と大矢と協力し合って3回を2失点で投げ抜き、「大矢さんがあんなにいい人だと知らなかった。僕が悪かった」と反省しきりだった。

 07年7月17日のロッテvsオリックスでも、内角攻めに怒ったタフィ・ローズが捕手の里崎智也に殴りかかる事件が起き、3日後のオールスターでチームメイトになった。

 だが、里崎はベンチの右端、ローズは左端と目一杯離れて座り、「大人の対応はしたけど、僕から(挨拶に)行くことはない」(里崎)、「サトザキと何の話をしなきゃいけないの?」(ローズ)とお互い視線すら合わせようとしなかった。

 このギスギスした空気が影響したのか、全パは2試合とも完敗だった。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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久保田龍雄

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久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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