もはや、日本の安全保障を米国に委ねているわけにはいかない。
私は2020年5月に、安倍晋三首相(当時)にそう話し、安倍氏も、主体的な安全保障体制の構築に取り掛かる、と強い意欲を示していた。しかし、途中で体調が悪化して辞任してしまった。
21年6月には、菅義偉首相(同)に話した。菅氏は、当然やらなければならないのだがコロナ問題で精いっぱいで、一段落したら取り掛かる、と約束したのだが、そのまま辞任してしまった。
そこで、岸田文雄首相である。
7月25日の午前中、官邸で岸田氏と会い、この問題をただした。岸田氏は前向きの意欲を示した。
今、憲法改正、自衛隊の明記について賛成と考える若い世代が多いと感じている。こうした傾向を決定的にしたのは、私はウクライナ戦争だと考えている。つまり、台湾有事に置き換えて考え、日本が有事になる可能性があるのだ、と自分事として捉えているのである。7月29日放送の「朝まで生テレビ!」のテーマは「安全保障」だ。出演する若い識者たちに、「憲法9条に自衛隊を明記することに賛成か、反対か」と問うことにした。原稿の執筆時点では、朝生の議論がどうなったかはわからないが、若い世代がどう考えているのか。関心は尽きない。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2022年8月12日号