といっても、AIを埋め込んだサイボーグの鯛ではありません。AI(人工知能)やICT(情報通信技術)などのハイテクをフルに活用して養殖した「桜鯛」になります。

 真鯛は、日本国内で「ハマチ(ブリ)」に次いで多く養殖されている魚で、年間に5万トンから6万トンが養殖されています。

 ちょっと余談になりますが、世界では近年、養殖への取り組みがどんどん拡大していて、世界の漁獲量のうち、約半分が養殖によるものです。日本でも、安定的な魚の供給へ向けて、養殖拡大への取り組みが行われていますが、現状では、国内の漁獲量の30%程度と、海外に比べて低くなっています。

 皆さんあまりご存じないかもしれませんが、養殖漁業者さんの仕事の中でも、最も大変で非常に高いノウハウが必要なのが、エサやりの仕事なんです。

 というのも、魚を計画した通りに順調に育てるためには、暑くても、寒くても、海が荒れていても、毎日エサを与えなければなりません。そして、魚の食欲や食べっぷりを見ながら、適切な量のエサを与えることが必要になります。

 エサが少ないと成長に影響しますし、エサを与えすぎると、無駄なコストがかかる上に、海を汚してしまうことにもなります。養殖のコストの内、約70%がエサ代とのことです。

くら寿司の「AI桜鯛」
くら寿司の「AI桜鯛」

「AI桜鯛」は、この非常に過酷で難しいエサやりの部分を、AIを使って自動化して育てた真鯛(桜鯛)のことなんです。

 養殖いかだに設置した「自動給餌機」に、数日分のエサを入れておけば、あとは、AIがカメラを通して真鯛の様子を観察し、最適なタイミングでエサを投下し、エサの食べっぷりを観察、ほぼ満腹になった時点で、エサをストップしてくれるんです。

 養殖漁業者さんは、数日に一回、エサの補給に養殖いかだに行くだけですみます。もちろん、スマホで様子を見ることも可能で、必要に応じて、手動でエサをやることも可能です。まさに、養殖漁業者さんの働き方改革と言えるものです。

 今回販売する「AI桜鯛」は、昨年4月から、愛媛県宇和島市の養殖漁業者さんと一緒に実験的に取り組んできたもので、今回、初めて水揚げしたものです。

 3月11日からはじまる「大トロと愛媛県フェア」で販売しますので、ぜひくら寿司のお店で、AIが手塩にかけて育てた「AI桜鯛」の味を楽しんでいただければと思います。

 また今回のフェアでは、42年連続して日本一の生産量を誇る養殖王国・愛媛県が誇る、「みかんマハタ」や「クエクイーン」に加え、「宇和島鯛めし風軍艦」やゼリーのような食感と強い甘みが特徴の柑橘類「せとか」など、愛媛県産の食材を使ったメニュー約15品目を全国のくら寿司で販売します。

 ぜひ全国のくら寿司のお店で、愛媛県の味覚を堪能していただければと思います。

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