次がヘルマン製単台車の部分写真で、ポピュラーなブリル21E型に比べると、軸箱守が鋳鋼製なのとエンドスプリングに完全楕円形状のリーフバネとコイルバネを併用する構造が相違点だった。
撮影から57年経って、この台車の素性を知ろうと「鉄道ピクトリアル誌」76号(1958年・電気車研究会刊)に掲載された台車研究家・吉雄永春氏執筆の「台車のすべて(2)」を同社のご厚意で閲覧させていただいた。その解説によると「ヘルマン」の単台車を装備した車両は戦前に行方不明になっており、会社資料に記載された台車形式「ヘルマン」は誤りで、正しくは米国ペックハム製「ペックハム8B型」と断定されていた。
ペックハムは明治期の東京市街鉄道などが米国から大量に輸入した単台車で、本連載でも九段坂を走る電車の絵葉書を掲載している。(次回3月19日配信に続く)
■撮影:1965年3月22日
※AERAオンライン限定記事