700系:“<のぞみ>の成長”に大きく貢献した車両といっても過言ではない(提供:東海旅客鉄道)
700系:“<のぞみ>の成長”に大きく貢献した車両といっても過言ではない(提供:東海旅客鉄道)

■1992年3月14日デビューも「名古屋飛ばし」が話題に

 東海道新幹線最速列車<のぞみ>は、東京―新大阪間2往復の運転、全車指定席、<ひかり><こだま>より高い「<のぞみ>料金」の新設など概要がまとまってゆく。

 ほどなく、山陽新幹線を管轄するJR西日本は<のぞみ>の乗り入れをJR東海に申し入れた。当時、JR西日本は最高時速350kmの500系試作車の開発を進めていたが、実用化に時間を要することから、同社も300系を導入することで話がまとまった。1993年春の東京―博多間毎時1往復運転の実現に向けて、地上設備の改良など準備を進めてゆく。

 1992年3月14日のダイヤ改正で、ついに<のぞみ>がデビュー。下り東京6時00分発の301号新大阪行きに限り、東京よりも集客が見込める新横浜に停車する代わりに、名古屋と京都を通過し、終点新大阪8時30分着のダイヤとした。

 これには名古屋の政財界が異議を唱え、「名古屋飛ばし」と話題になるほどの騒ぎとなってしまう。当時、深夜の保線作業終了後、線路を支えるバラストを安定させるため、数本の営業列車を対象に当該エリアの速度を時速170kmに制限していた。これに、早朝運転の<のぞみ301号>新大阪行きも該当しており、名古屋、京都に停車すると、2時間30分で新大阪に到着することができなかったのだ。

 その後、新型の保線車両を開発、導入したことで、1997年11月29日より速度制限も解消。<のぞみ>全列車の名古屋、京都停車が実現した。

■<のぞみ>毎時1往復に大増発

 1993年3月18日のダイヤ改正で、<のぞみ>の運転区間は東京―博多間に拡大。同区間の毎時1往復運転により大増発され、5時間04分で結ばれた。

 さらにJR西日本は時速300km運転が可能な500系の実用化に成功し、1997年3月22日にデビュー。当初は新大阪―博多間の運転だったが、11月29日より東海道新幹線に直通し、東京―博多間を最速4時間49分で結んだ(現在は4時間46分)。※500系の詳細は、拙著『波瀾万丈の車両』、アルファベータブックス刊を参照

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