福士:マモちゃん演じる草臥は、陽気な“口出し屋”。言ってみれば、「なんでも屋」みたいな人ですが、実際にこれだけサービス精神旺盛な役者を僕は見たことがない。マモちゃんにぴったりだな、という気がします。同時に、草臥には抜け出したい過去もあり、厚みのある人物として描かれている。決して表面的ではない、奥行きのある人物というところも、マモちゃんに重なると思います。
――映像の世界と、声の世界という、異なるフィールドで活躍する二人。「舞台ならでは」の面白さを感じるのはどんなときか。
宮野:僕は子どもの頃からお芝居をしてきて、18歳の時に初めて声のお仕事をいただき、いまはドラマなどのいろいろな仕事もいただけるようになりました。声優のお仕事は、「イメージすること」が何よりも大切。どんな状況にあるか、といったことを頭でイメージできていなければ、声色にのらない。実感を持てなければ、イメージすることもできないんです。でも、お芝居の時は実際に体を動かすことで、「こう動くとこんな声が出るんだ」といったことを、身をもって感じることができる。これは非常に大きなことで、そうした実感との相乗効果で、自分の表現ができあがっているんだな、と思うことはあります。
福士:僕の場合、舞台のお仕事では「お芝居を何度もできる」ということが大きいです。ドラマや映画では、段取りをして、テストをして、本番を撮りOKが出たら、同じお芝居を重ねることはないわけですが、舞台稽古では、何げないシーンでも何度も繰り返していく。だからこそ、自分もいろいろなやり方を試しながら、トライ&エラーを何回もできるので、すごくいい時間だと思います。
心置きない特別な関係
――ライブならではの怖さを感じることはないのだろうか。
福士:僕は本番もあまり緊張しないんです。
宮野:僕は真逆で、思いきり緊張するタイプ。「髑髏城の七人」の本番の時もそうだったのですが、ナーバスなところがあって、ギリギリまで台本を手放せないんです。「絶対に間違えられない」という恐怖感があって。