3月17日に開幕する劇団☆新感線の新作、いのうえ歌舞伎「神州無頼街」に出演する福士蒼汰と宮野真守。年代もフィールドも違う二人が、舞台の醍醐味とお互いの存在について語り合った。AERA 2022年3月21日号から。
【写真】可愛らしい小学生の頃の福士蒼汰少年 「コミュニケーション能力は低めでした」というが…
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――俳優の福士蒼汰と宮野真守が、劇団☆新感線の新作、いのうえ歌舞伎「神州無頼街(しんしゅうぶらいがい)」に出演する。舞台は幕末。福士演じる若き町医者・秋津永流(あきつながる)は、宮野演じるお調子者の“口出し屋”草臥(そうが)と出会い、無慈悲な侠客夫婦に挑む。時代劇の世界に身を投じることの醍醐味とは何か。
宮野:活劇ができるって純粋にすごく楽しいんです。劇団☆新感線の舞台だと、それぞれが持つ得物も一般的な刀ではなく、一癖も二癖もあるようなもので、どこか漫画の世界に飛び込んだような感覚にもなる。せりふにしても、リアルな日常を描いたドラマとは異なる言い回しや、時代劇ならではの遊び心も感じます。登場人物たちの心情は、現代につながるものなのかもしれないけれど、アウトプットの仕方が全然違う、という面白さがありますね。
時代を超えられる
福士:僕は、“日本の文化”を体現できる素晴らしさもあるな、と感じています。海外の俳優の方が江戸時代のキャラクターを演じるというのは、なかなかできないことですよね。
宮野:確かにそうだね。
福士:日本人だからこそ役に馴染めるのだと思いますし、それはすごく光栄です。それに、時代を超えることは、役者の仕事をしていなければできないこと。この仕事ならではの面白さだと思います。
――二人は、ダブルチーム制を採用した「髑髏城の七人 Season月」(2017~18年)で稽古をともにしていた。「神州無頼街」では劇団☆新感線の座付き作家である中島かずきが、福士、宮野それぞれの個性を加味したあてがきに近いキャラクターを生み出した。
宮野:お芝居に対し、まっすぐ向かっていく蒼ちゃんのストイックさや純粋さといったものは、永流のキャラクターに反映されているな、と思いました。それから、これは本読みの際に感じたことですが、第一声を発したときの“ヒーロー感”がすごくて。作品の真ん中に立ってくれる人が輝きを放っているのは、本当に素晴らしいこと。有象無象がうごめく物語のなかで、風のように主人公が現れる。僕は非常に心をつかまれました。