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 培ってきたスキルを軸に、新たな知識や技能を獲得するスキルの足し算「リスキリング」。どんな視点で学ぶ対象を選ぶべきか、効率的に時間を使うにはどうしたらいいのか。AERA 2022年3月21日号は、エグゼクティブコーチ・安藤真由美さんに聞いた。

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 時間を忘れて打ち込めて、モチベーションが保てるのは、自分が「興味」ある勉強。興味・関心がある学習の難易度を、頑張ればできるレベルに設定することで、心理学でいうフロー(没入状態)になり、より高いパフォーマンスも発揮できます。 

 もちろん興味より、職場が求める資格の勉強などを優先する人も多いはず。スキルアップには論理的な方法です。しかし学習も、義務的にやるより「好き」という感情を優先したほうが、投資回収できる可能性は大きい。私もファンドマネジャー兼アナリスト時代には、関心があったコーチングを学びました。ファイナンスやジェンダーの分野で修士号を取得したことも、独立後のキャリアを広げていて、リスキリングの視点からも正解でした。 

 もう一つ、大切なのが「回復」です。世界のトップアスリートは、負荷と休息のバランスを取って、最高の成績を出す「エネルギーマネジメント」を実践しています。意識的にエネルギーを回復することで、より強くなることが科学的にも証明されているからです。 

 回復の方法は睡眠だけではなく、対話や散歩など、人によって正解は異なります。自分に最適な集中とリラックスのリズムを作ることができれば、効率的な時間の使い方を維持できるはずです。 

 そして学んだ後は、転職やスキルアップなどをして必ずアウトプットを。自らの意志で投下した費用や時間を回収して、人生のハンドルを自分で握る。勉強は小さなリスクで最大のリターンを狙える自己投資です。 

AERA 2022年3月21日号