海外フリーエージェント(FA)権を行使し、メッツに移籍した千賀滉大選手。総額100億円以上の契約を結んだことでも話題を呼んだ。どこが高い評価につながったのか。AERA 2023年1月23日号の記事を紹介する。
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ソフトバンクのエースとして活躍した千賀滉大は、5年総額7500万ドル(約102億円)で入団した。1年平均約20億円の大型契約だ。10年のドラフトで支度金300万円、年俸270万円の育成枠でソフトバンクに入団してから12年。サクセスストーリーは道半ばだが、その生き様は育成契約から1軍での活躍を夢見る選手たちに勇気を与えるだろう。
千賀の場合は吉田に比べると、重圧が軽減される環境にいる。先発陣は昨季ア・リーグで4度目の最多勝、3度目のサイ・ヤング賞に輝いたジャスティン・バーランダー(39)、通算201勝右腕のマックス・シャーザー(38)ら豪華な陣容だ。千賀は先発4~5番手を担う可能性が高い。
大リーグを取材する記者は、
「吉田は各球団によって評価が分かれたが、千賀はどの球団も先発投手として試合を作る能力が高いと認めていた。縦の変化は大リーグで有効なので、落差十分の『お化けフォーク』は十分に通用する。他の変化球も質が高いし、直球の威力も十分にある。先発の層が薄い球団は4番手以降の投手の力がガクッと落ちる。千賀が本来の力を発揮できれば、2ケタ勝利は堅い」
と評価する。
■不安要素は故障の多さ
16年から7年連続2桁勝利と安定した投球で、常勝軍団のソフトバンクに不可欠な存在だった。コロナ禍の影響で120試合制の20年は11勝6敗、防御率2.16で最多勝、最優秀防御率を獲得。咋季はオリックスのエース・山本由伸(24)が史上初の2年連続「投手5冠」に輝いたが、千賀も22試合登板で11勝6敗をマーク。防御率1.94はリーグ2位の好成績だった。
大リーグ挑戦は長年の夢だった。17年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場し、4試合登板で防御率0.82をマーク。11回を投げて大会最多タイ記録の16三振を奪ったことで、世界のトップレベルが集う環境への憧れが高まった。ポスティングシステムでの大リーグ挑戦はソフトバンクの方針で認められなかったが、海外FA権を行使して念願の舞台に挑戦する。スポーツ紙デスクは、こう指摘する。