見ている人にも「こいつ、わざとヒールを演じてるの?」という思いが出てくるであろうところで、本のお話をいただけた。なので「これがありのままの答えなんです」ということをつづらせてもらえたのは本当にありがたかったと思っています。
そして、もうひとつ腹を決めたというか、覚悟を持てた部分もありました。「種明かしをしても、そこを上回る面白いことをまた生み出せばいい」。そう思えたのも大きかったなと。
どこかで、純粋に「もっと面白くなる努力をしないといけない」という思いはあったんです。今回、本によってそこのきっかけをいただいたというか。もう一回り大きくなるための脱皮をさせてもらった感覚もありました。
そうやって常に負荷をかけていないとやっていけない世界でもある。これも一つの種明かしになるのかもしれませんけど、その思いは以前からずっとあるものでした。
基本的に、全力でやらないととてもじゃないけどついていけない世界ですし、本のタイトルともリンクしてくるんですけど、いい人でいても面白いわけじゃない。むしろ、芸人なんてムチャクチャであればあるほど面白いと思っているので、いい人でいてもしゃあないと思ってやってきたところも多々あります。
特に、お笑いの現場では人に気を使っていても面白いことなんてできないし、変な情をかけても相手が救われるような場でもないし、その優しさは芸人としての優しさではないし。いろいろ考えて、今の自分にたどり着きました。
何がそのきっかけになったのか。振り返ってみると、大阪時代、僕はデビューしたての頃から本当に先輩に恵まれていたんです。僕の人間性を分かってくださっている方が常にいてくださいました。「見取り図」さんとか「アインシュタイン」さんとか。
「ナダルはこんな感じで話を振ったら、こんな感じで変なことを言うヤツだ」。その流れができていて、常にいいパスをもらっていたんです。