独創的な新庄監督の采配も賛否両論を呼んだ。開幕戦では先頭打者・万波中正が3ボールからの4球目の直球を打って中飛に倒れた。制球の定まっていない千賀を助けた形になったが、もし万波が打って出塁すれば称賛されただけに判断が難しい。また、先発ローテーションの有力候補である伊藤、河野を救援で登板させたことも驚きを呼んだ。
前出のスコアラーは戸惑いを口にする。
「伊藤が開幕戦で救援登板した時は驚きました。次のカードの西武戦で先発すると思っていましたから。今でもその可能性は高いと考えていますが、シーズン序盤に救援で2イニング投げた後に中4、5日で先発登板させる起用法は今の時代には考えられない。そもそも、新庄監督の中では先発イコール長いイニングを投げるという概念がないかもしれない。球界の固定観念に捉われると、今年の日本ハムは分析できないですね」
新庄監督は月日を重ねて常勝軍団を築こうとしている。今年はレギュラー白紙を強調しており、横一線での競争になる。昨季1軍出場なしだった清宮が開幕2戦目の26日に右翼席中段に特大の1号アーチ。オープン戦でチームトップの5本塁打を放ちながら、終盤は19打席連続無安打で開幕スタメンを逃した万波も3戦目の27日に1号左越え2ランを放った。チームは発展途上だが、大きな可能性を秘めている。新庄監督の「予測不能な采配」を含めて他球団にとって不気味な存在であることは間違いないだろう。(安西憲春)