広島の鈴木誠也が5年総額約101億円で大リーグのカブスに移籍した。日本人野手の1年目では史上最高額。明るい性格でも話題になっているという。AERA 2022年4月4日号の記事を紹介する
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ポスティングシステムを利用して大リーグ挑戦を表明していた広島・鈴木誠也(27)が、カブスに入団することが決まった。米国の複数メディアによると、日本人野手の1年目で史上最高額の5年総額8500万ドル(約101億2千万円)で合意。特別条項に全球団へのトレード拒否権が含まれているという。また、広島に1462万5千ドル(約17億4千万円)の譲渡金が支払われる。
先行きが不透明な状況で、不安な日もあっただろう。昨年、現地時間の12月1日限りで大リーグの労使協定が失効してロックアウトに突入。移籍交渉は3カ月以上凍結した。3月10日に新労使協定の締結と共に交渉が再開すると、複数球団が獲得に名乗りを上げるなか、鈴木は2016年以来6年ぶりのワールドチャンピオンを目指すシカゴの名門球団への移籍を決断した。
カブスは昨季、ナショナル・リーグの中地区4位に低迷し、主力を次々に放出。チームを再構築するなかで中心選手として鈴木に白羽の矢を立てた。本職の右翼にはゴールドグラブ賞を5度獲得したジェイソン・ヘイワード(32)がいるが中堅へのコンバートが濃厚で、鈴木に大きな期待がかかる。
■持ち味がたくさんある
報道によると鈴木は入団会見で緊張の面持ちだったが、
「(カブスは)素晴らしいチームですし、たくさん評価をしていただいて、その熱意に心がやられて。それが一番の決め手でした」
とコメント。背番号「27」の理由を聞かれ、
「マイク・トラウト(エンゼルス、30)。アイ・ラブ・ユー」
と英語で返答し、報道陣の爆笑を誘った。
日本人野手は大リーグで思うような活躍ができていない。だが、各球団の鈴木に対する評価は高かった。ニュージャージー州のメディア、NJ.comは「右打ちのマツイ・ヒデキ」と形容。ホワイトソックスのニュースサイト、ソックスマシンは漫画『聖闘士星矢』になぞらえて、「セイント・セイヤと契約せよ!」と獲得を熱望していた。