医師が主人公、あるいは医療現場を舞台にした医療ドラマや医療漫画は数多くあれども、なぜか皮膚科医が主人公のものは存在しない……。それを寂しく思っていた現役皮膚科医で近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師が、実際に原作となるストーリー製作にチャレンジし、前回までの3回の連載で配信しました。今回はその振り返りをお届けします。
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医者が活躍する医療ドラマは多いものの、皮膚科医が主役となるものはこれまでありませんでした。世間一般的に皮膚科医は暗いイメージか、もしくは、一部の美容皮膚科の華やかなイメージしかなく、実際の魅力はなかなか伝わっていないように感じます。皮膚科医が主人公の漫画やドラマがないならば、自分で作るしかない。その原作となる皮膚科医物語をここアエラドットで書かせていただいたのが、前回までの3回の連載です。まだの方はぜひお読みください。
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以下、皮膚科医物語の制作秘話です。
私が皮膚科医の魅力として感じる部分は、皮膚の状態をみて患者さんの家庭状況や心の背景まで読み取れることがあるということ。その奥深さを伝えたいと思い、皮膚科医物語では工藤順一という主人公に活躍してもらう設定にしました。
簡単に内容をまとめます。主人公の皮膚科医工藤はアルバイトとして訪問診療を始めることになります。バイト先は医局の先輩である鈴木が院長をつとめる友愛会病院。鈴木院長から謎の発疹を診てほしいと頼まれた工藤は、看護師の遠藤と加藤誠の家に向かいます。加藤は父親と二人暮らしでとても神経質な性格。背中からお尻にかけて広がる謎の湿疹に工藤も頭を悩ませます。しかし、看護師の遠藤が口に漏らした二人の親子関係から、工藤は謎の湿疹が白癬(はくせん)菌の感染症と息子による虐待の内出血が混ざったものと気がつく、という物語です。