その一方、新天地で苦しんでいる移籍組も多く、札幌からリーグ2連覇中の王者に加わった“タイのメッシ”チャナティップ(川崎)は、その代表格だろう。3連覇へのキーマンとしての期待を背負っての加入で、ここまでリーグ戦8試合中7試合に先発出場するなどプレー時間(425分)は長いが、シュート3本の無得点で1アシストのみと不完全燃焼。ボールを保持した際のプレーに迷いが見られるシーンが多く、川崎のパスサッカーの中で持ち味である思い切りの良いドリブル突破が影を潜めている。時間が解決してくれるはずだが、その間にチームが早くもシーズン2敗目を喫しており、今後もチームとして攻めあぐねる時間が増えれば、チャナティップの代わりに他の選手を起用することになるだろう。
“ミシャサッカー”での再起を誓ったFW興梠慎三(札幌)とFWガブリエル・シャビエル(札幌)の2人も、開幕6試合連続ドローとなったチームの中で、まだ力を発揮し切れていない。興梠は4試合出場で1得点。2月26日の広島戦で移籍後初ゴールを決めたが、計293分間でシュート3本はFWとして非常に物足りない。一方のガブリエル・シャビエルは、ここまで出場4試合(先発3試合)で無得点。4月2日の浦和戦では1トップで出場したが、前半7分の決定機を外すと後半15分に19歳の中島大嘉と交代。その中島が荒削りながらも可能性のある楽しみなプレーを見せたことで、シャビエルの“物足りなさ”が際立ち、フルコートでのマンツーマン戦術への適応力にも疑問も大きくなっている。
さらに問題なのが、開幕8戦未勝利(4分4敗)となった神戸の新加入組だ。守備陣の新リーダーとして迎え入れられたDF槙野智章(神戸)は、古巣・浦和戦での同点弾こそあれども、右SBとCBで出場している肝心の守備では綻びが散見され、チームは8試合で12失点。もちろん槙野一人の責任ではないが、退団したフェルマーレンとの差を感じてしまうことは確かだ。