藤浪
藤浪

 選手が鼓舞されるどころか予祝の胴上げに象徴されるように「チームの空気はユルユルです」(前出担当記者)と言われるタイガース。開幕投手が予定されていた青柳晃洋投手の3月半ばのコロナ陽性離脱も、そんな中でこその出来事だと言われたものだ。

 恒例の開幕前の必勝祈願参拝でも、周囲があきれる場面があった。取材を受けた矢野監督が「カッコいい背中を見せる」と言ったというのだ。

「某有名ОBが『響いてこないなぁ』と首をひねってました。矢野監督をフォローしなければいけない立場の球団フロントの人間でさえ眉をひそめてました。キャンプにも何冊も持ち込んでいたようだけど、矢野監督は自己啓発本の読みすぎでしょ。その受け売りで自分の言葉じゃないから、軽いし、響かない。選手のためになってないだけでなく、戸惑わせてます。もっとハッキリ言えば、某主力選手なんか『あと1年、我慢します』と言ってますよ」(古参記者)

 さて、ヤクルトとの開幕戦。7点リードして余裕の展開かと思いきや、あっと言う間に1点差まで詰め寄られ、その局面で登板したのが新外国人投手のケラー。ここで、いきなり同点ホームランを喫しただけでなく、もう1本ホームランされ、見事な打たれぶりを披露したのだった。

 スアレスという絶対的な守護神がいなくなり、その代わりの“抑え”を誰が務めるか、が今季の阪神の一番の課題と言われ、その候補だったケラー……。

「最も不安視されていた部分が、いきなり、それもモロに悪いほうに出た。そんなダメな雰囲気を引きずって、この連敗が始まったわけです」

◆カッコ悪すぎる中途半端な采配

佐藤輝
佐藤輝

 こう分析するベテラン記者が、さらに指摘したのが近本と佐藤輝の守備。3連敗した試合でセンターとライトを守っていたこの二人が飛球を追っていったとき、お見合いのような感じになり、結果、ランニングホームランにしてしまった。

「なのに確か5連敗目を喫することになる広島との2試合目、この二人は同じようなところへの飛球で、今度は明らかなお見合いをしてポテンヒットにしてしまった。で、解説をしていた掛布さんが『ぶつかってでも捕りにいかないと』と言ったんです。根性論が大嫌いな掛布さんが、あんなこと言ったのを初めて聞きました。それくらい、今の阪神の選手には、勝つぞ、という執念が感じられないってことです。チームの空気がユルユルだって証しですよ」

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