週刊朝日 2022年8月5日号より
週刊朝日 2022年8月5日号より

 高橋さんは「無理をしないで60歳以降はまずは再雇用でいいんです」とキッパリ言う。

「定年前にセカンドキャリアなどの研修を受けても『自分の強み』が見つからない、という人は、無理に就職活動や起業しようとあせらないこと。再雇用で働きながら、じっくりと自分と向き合う時間をつくり、その間にスキルアップしましょう」(同)

 生涯現役で働き続けるために、高橋さんがシニアに勧めているひとつが「なりたい・やりたいリスト」。

 これからの生き方を充実させるため、本当は何をしたいのか、どうなりたいのかを最初に考えることが重要。何をするかばかり考えると目先のことにとらわれてしまう。本来は人と関わることが好き、人に何かを教えている時に充実感がある、ものづくりをしたいなどを明確にすることで、残された時間を最大限生かせるという。

週刊朝日 2022年8月5日号より
週刊朝日 2022年8月5日号より

 次に「強み発見シート」で得意や好きなことを見つけよう。

「今まで培ってきた仕事の知識・スキルは無駄でなく十分役立ちます。得意なことは自然にやっているので気付きませんが、人から褒められたことやうまくいったことを年代ごとに一度紙におとしてみるとわかってくるものです」(同)

 冒頭の豊住さんが「包丁研ぎ」の技術を習得したのは営業担当をしていた40代半ばだった。

「60歳で定年退職するまでほかの部署で仕事をしましたが、包丁を研いだ後、スパッと切れるようになった時の、厨房スタッフの驚きの声や笑顔が忘れられませんでした。私は元々エンジニアでしたので、ほかにも提供できるスキルはありましたが、すでにいろんな人が教えている講座を開こうとしてもダメだと感じ、“ニッチな知識や技術”で教室を開きたいと思いました」(豊住さん)

(ライター・村田くみ)

週刊朝日  2022年8月5日号より抜粋

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