番組では、同局が1日に発表した「MLBトップ100選手」についての議論が交わされていた。大谷は、そのランキングで、昨季のア・リーグ本塁打王のブラディミール・ゲレーロJr内野手(8位)やナショナルズのファン・ソト外野手(4位)らを抑えて1位を獲得している。その理由について記事では次のように書かれている。

「君ならどうやって46本塁打、26盗塁、OPS(出塁率と長打率を足した数値).965を記録すると同時にマウンドで23登板、防御率3.18を残す男と競うことができる?いいだろう、それは無理だ。だからこそ、大谷は昨年のア・リーグMVPを獲得できて、それが彼が1位である理由だ」(『MLB.com』)

 大谷のチームメートであるマイク・トラウト外野手は2位に選出された。番組はMLBの現役トッププレーヤーの2人を抱えるエンゼルスの戦力に着目。同チームが今季ポストシーズンに進むことができるのかという話題になったのだが、その際、番組に出演していたアランナ・リゾ記者は、「私は大谷が(球界で)1番になれるとは思わないわ。なぜなら彼は投手だから」と発言。これを聞いた同番組のホスト、クリス・ルッソは驚きのあまり言葉を失った。そして、この発言が現地メディアやファンからの怒りを買ったのだ。

『MLB.com』の見解に反論することは決して問題ではない。しかし、リゾ記者の反論理由が「大谷が投手だから」というのは、「あまりに不可解だ」という声が多い。

 例えば、スポーツウェブメディアの『デッド・スピン』は、「野球で最高の選手は誰かと聞かれれれば、野手あるいは指名打者を思い浮かべるだろう。なぜなら野球において打撃は最も難しいことだからだ」と、リゾ記者に一定の理解は示すも、「投手が球界で最高の選手になることはできないという意見に誰が納得できるか」と反論。また同記事は、番組で同席していたルッソ氏が何も反論しなかったことにも不快感を示した。

 リゾ記者を批判するメディアは他にもある。ロサンゼルス・ドジャースの専門メディア『ドジャース・ウェイ』もこの発言を取り上げた記事を掲載し、元ドジャースのリポーターを務めていたリゾ記者の発言には疑問符が付くという見解を示した。ドジャースの専門メディアでさえ、同チームの元リポーターよりも、敵チームの大谷を擁護するほどである。こういった各メディアの反応から、この発言が現地でどれだけ批判を浴びたかがよくわかるはずだ。

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