高橋はアイスダンス転向1年目の昨季を今、こう振り返る。
「周りが見えなかったですね、先シーズンは。普段の練習も(他選手とぶつかりそうな)危ない時は声を出すんですけど、声すら出なかった」
今は気後れすることはない。
「なんか負けたくないっていうのがあって。自分でもびっくり」
昨季は国内試合のみ。今シーズンになって初めて、世界の舞台でトップチームと戦った。わずか2年での世界16位には、悔しさと手応えが同居している。
「自分たちが表現したいものを出し切った」
と話す村元に、
「悔しい、が一番大きい。完璧な演技をすればもう少し上にいけたんじゃないか」
と高橋は語る。
「評価をもらえていることは実感できているので、アイスダンスカップルとして認められたのかなという1年になった」
結成当初から節目と考えていた五輪シーズンが幕を下ろした。来季以降のことは、今後、改めて話し合う。高橋は言う。
「チームとして、試合の経験が浅い。ポテンシャルはまだまだ(ある)。先のことは決まっていないけど、これで100%ではない。まだ成長過程なんじゃないかなと思っています」
今後への伸びしろが十分なのは間違いない。
(朝日新聞スポーツ部・吉永岳央/岩佐友)
※AERA 2022年4月11日号から抜粋