高橋はアイスダンス転向1年目の昨季を今、こう振り返る。

三浦璃来、木原龍一組/合計199.55点で、ペアでは日本勢初の銀メダルに輝いた。SP71.58点、フリー127.97点はともに3位だった(International Skating Union via Getty Images)
三浦璃来、木原龍一組/合計199.55点で、ペアでは日本勢初の銀メダルに輝いた。SP71.58点、フリー127.97点はともに3位だった(International Skating Union via Getty Images)

「周りが見えなかったですね、先シーズンは。普段の練習も(他選手とぶつかりそうな)危ない時は声を出すんですけど、声すら出なかった」

 今は気後れすることはない。

「なんか負けたくないっていうのがあって。自分でもびっくり」

 昨季は国内試合のみ。今シーズンになって初めて、世界の舞台でトップチームと戦った。わずか2年での世界16位には、悔しさと手応えが同居している。

「自分たちが表現したいものを出し切った」

 と話す村元に、

「悔しい、が一番大きい。完璧な演技をすればもう少し上にいけたんじゃないか」

 と高橋は語る。

「評価をもらえていることは実感できているので、アイスダンスカップルとして認められたのかなという1年になった」

 結成当初から節目と考えていた五輪シーズンが幕を下ろした。来季以降のことは、今後、改めて話し合う。高橋は言う。

「チームとして、試合の経験が浅い。ポテンシャルはまだまだ(ある)。先のことは決まっていないけど、これで100%ではない。まだ成長過程なんじゃないかなと思っています」

 今後への伸びしろが十分なのは間違いない。

(朝日新聞スポーツ部・吉永岳央/岩佐友)

AERA 2022年4月11日号から抜粋