■三笘薫(ブライトン→ユニオン・サン=ジロワーズ)

 非常に苦しい戦いを強いられたワールドカップ・アジア最終予選、日本代表を救ったのは川崎フロンターレからヨーロッパへ羽ばたいたウインガーだった。A代表デビューとなった敵地でのオマーン戦では、1人で停滞する雰囲気を打破し、決勝点をお膳立て。すると予選突破をかけた大一番、オーストラリア戦では出場6分間で圧巻の2ゴール。らしさ全開の2点目など、自身の力をまざまざと見せつけ、7大会連続7度目の本大会出場へ導いている。

 今季から活躍の地をベルギーへ移した24歳だが、ユニオン・サン=ジロワーズでは当初システム上得意とする左ウイングは存在せず、インサイドハーフで試されるなど試行錯誤が続いた。そして昨年10月のセラン戦、退場者を出した中で後半から出場しハットトリックを達成するという“主人公っぷり”を見せつけると、それが契機となって左ウイングバックのポジションを確保。欧州挑戦1年目で、川崎時代のような相手の半歩以上先を行くドリブルがそのまま出せていることは驚きでしかないが、守備時の上下動や対応も日に日に向上している。本人は移籍当初を「苦しいことばっかりでした」と振り返っているが、異なるチーム、異なる役割の中で自身を殺さずに適応できたことが今の飛躍につながっているのは間違いない。

 そんな三笘だが、所属元はプレミアリーグのブライトン&ホーヴ・アルビオン。新進気鋭のグレアム・ポッター監督の下、ボールを保持して試合を支配する勇敢なチームを作り上げているが、いかんせん深刻な得点力不足に悩まされている(31試合で28得点はリーグワースト2位)。だからこそ、彼らにとって日本代表MFの活躍は希望でしかないのだ。地元メディア『The Argus』は「ファンは直接姿を見ていないが、今季の活躍を見れば期待するところは多い」とし、そのスピードとスキル、フィニッシュフェーズでの関与への期待を綴っている。

 プレミアリーグへ移籍する際に最大の障壁となるイギリスの労働許可証だが、同メディアは「確保できる」との見解を示している。来シーズン、現チームメイトのデニズ・ウンダフとともにブライトン合流の可能性は高い。半ば“スーパーリーグ化”しているプレミアリーグの舞台で、日本屈指のウインガーが躍動する日は近いのかもしれない。

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昨季はオランダで大活躍のDFは?