■板倉滉(マンチェスター・シティ→シャルケ)

 昨季所属したフローニンゲンで、エールディビジ全試合にフル出場する快挙を達成。同クラブでシーズン全試合出場は21世紀に入って3人目であり、当然ながらクラブの年間最優秀選手に輝いた。オランダの地で別格のプレーを見せた彼の去就には注目が集まっていたが、本人が選んだのはブンデスリーガ2部降格の憂き目にあったシャルケ。ドイツ2部で成長することを決断した。

 そしてシャルケでは合流後にすぐさまポジションをつかむと、第5節~第29節まですべて先発出場。4ゴールを挙げるなどセットプレーでも頼りになる存在となった他、試合途中から中盤にポジションを上げる機会も多く、高い戦術理解度とユーティリティ性を遺憾なく発揮。現地記者からは「ブンデスリーガ2部ではもったいない」との声も上がるほど、高い評価を受けている。

 当然その去就には注目が集まっているが、マンチェスター・シティ合流の可能性は限りなく低い(グアルディオラ監督とは話したこともないそうだ)。シャルケ側は、1部復帰が決まれば買い取りオプションを行使する予定と伝えられている。本人も以前に「長期的にシャルケでプレーすることを望んでいます」と明言。「内田篤人さんのような役割を果たせたら幸せ」と、シャルケで愛される存在になりたいと語るほど、居心地の良さを感じているようだ。

 問題は、シャルケが1年で1部に復帰できるかどうか。29試合を終えて勝ち点53で首位となっているが、5位ニュルンベルクまでの勝ち点差はわずか「4」。自動昇格圏が2位となっている昇格争いは、シーズン最後の1試合まで行方がわからないほど混戦となっている。それでも、板倉自身は「昇格をしないという選択肢は考えてないです。サッカー選手なら誰もが一番上のリーグでやりたい」と自信をのぞかせている。3月7日に監督交代を敢行する大勝負に出たドイツの名門だが、板倉とともに一部の舞台へと舞い戻ることはできるのだろうか。

(文・三上凌平)

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