ウクライナ南東部のマリウポリはロシア軍に包囲され、民間人を標的にした攻撃が続いている(photo NurPhoto via Getty Images)
ウクライナ南東部のマリウポリはロシア軍に包囲され、民間人を標的にした攻撃が続いている(photo NurPhoto via Getty Images)
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 ロシア軍に侵攻されたウクライナで、インスタグラムで発信を続ける日本人女性がいる。ウクライナの人々が戦時下でも力強く生きる姿を描き投稿している。女性がイラストに込めた思い、国外に避難しない理由とは。AERA 2022年4月18日号の記事から紹介する。

【画像】インスタで発信を続ける石田朝子さんの写真とウクライナの人々を描いたイラストはこちら

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「私たちは今日も無事です」

 ウクライナ東部のドニプロで暮らす石田朝子さん(52)が毎朝投稿するインスタグラムに添える文章は、そんな一文で始まる。

「日本にいる両親や友だちに、私たち夫婦はとりあえず無事だということを伝えるためです」

 宮城県出身で、26年前にロシア語を勉強するため首都キーウ(キエフ)の大学に留学。翌年、ウクライナ人の夫(56)と結婚した。異国出身の自分を温かく迎えてくれるこの国は心地よく、第二の故郷となった。

 だが、2月24日、ロシア軍が国境を越えた。キーウの集合住宅にロケット弾が撃ち込まれたニュースをテレビで見た。

「なぜ民間人を攻撃しなければいけないのか全く理由がわからず、すごく怒りを感じました」

 その怒りをぶつけたいと思い、翌25日から自身のインスタグラムに文章とともにイラストを投稿するようになった。

ウクライナ東部のドニプロに住む石田朝子さん(photo 石田さん提供)
ウクライナ東部のドニプロに住む石田朝子さん(photo 石田さん提供)

イラストに込めた思い

「被弾して燃える建物」「ロシア軍の犠牲者」──。

 最初の頃は戦争の恐怖やロシア軍の侵攻を伝えるイラストだった。

 しかし、次第に戦争という惨劇のなかでも勇気と強さを失わず、バイタリティーを持って生きるウクライナ人の姿を伝えたほうがウクライナのためにもなると思うようになった。その一つが、侵攻から32日目に投稿した「戦場で踊ろう」だ。若者がと一緒に楽しそうに踊っている。

 戦場はつらい。だからこそ、踊ろうという気持ちになる──。イラストにはそんな思いを込めたという。

 ドニプロは人口100万人近くの都市で、ウクライナのなかでは比較的安全だ。スーパーも薬局も開き、商品もほとんどそろっている。物価もそれほど値上がりしていない。昼間は、街中で車が通り人々も行き来する。

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