21世紀のビートルズ
各国のチャートで1位を獲得し、「21世紀のビートルズ」とも称される。ビルボード「ホット100」で初めて1位に輝いたのは20年、「Dynamite」だった。韓国人アーティストとしては初めてのことで、アジア出身の非英語圏歌手では57年ぶり。1963年、坂本九の「SUKIYAKI(上を向いて歩こう)」以来ということで日本でも話題になった。コロナパンデミックの中で世界的なヒットを記録した「Dynamite」は、多くの人の希望や癒(いや)しとなった。社会的な発言も多く、21年にはニューヨークの国連本部で演説し、コロナ禍で苦境にいる若者たちに「失われた世代」でなく「ウェルカム世代」だと温かいメッセージを投げかけもした。
今回のグラミー賞授賞式を前に米誌タイムは「世界で最も影響力のある100社」にBTSの所属事務所HYBEを選び、生みの親パン・シヒョク氏とともにBTSがタイムの表紙を飾った。小さな事務所からスタートし、ジャスティン・ビーバーやアリアナ・グランデらが所属する米国の事務所イサカ・ホールディングスを買収するほど成長。BTSに続くK-POPアーティストを世界に売り出す戦略だ。
前述のイム・ヒョンジュさんはグラミー賞授賞式後、韓国の放送局KBSの時事トーク番組に出演し、こう語った。
「マドンナもグラミー賞のメインの賞を受賞するまでは長くかかったが、受賞よりずっと前からポップスの女王だった。BTSはグラミー賞だけ受賞できていないが、彼らはすでにポップスの帝王です」
(ライター・成川彩(ソウル在住))
※AERA 2022年4月18日号