韓国文化が世界を席巻する中、BTSのグラミー賞ノミネートはARMYのみならず韓国全体の関心事でもあった。韓国メディアでは2年連続候補に挙がっただけでも十分価値があるという肯定的な受け止めが多い一方、「BTSが視聴率のために利用された」という不満の声も報じられた。BTSが候補となった部門の受賞者発表が授賞式の終盤にあったためだ。BTSのノミネートは2度目だが、19年はプレゼンターとして登壇し、20年はリル・ナズ・Xらとのコラボステージに参加しており、4年連続授賞式に参加している。
投票は会員の主観反映
グラミー賞の選考で投票権を持つ「レコーディング・アカデミー」会員でテノール歌手のイム・ヒョンジュさんは「決してBTSの『Butter』が受賞曲に比べて音楽性で劣っていたわけではない」と言い切る。
アジア出身のボーイズグループは受賞に不利という指摘についてはこう解説する。
「投票は会員の主観が反映されるもので、中年以上の白人の会員が多く、世界的な人気の度合いとは異なる結果になることは多々ある。BTSが受賞できなかったのは、グラミー賞がローカルな評価に留まった印象を与えた」
ただ、グラミー賞もまた白人中心主義という批判を受け、近年は若手の会員を増やすなど改革中だという。比較的若いファンが多いBTSが今後受賞する可能性は十分ありそうだ。
13年にデビューしたBTSは等身大の悩みや社会風刺を積極的に歌詞に盛り込み、強烈なダンスパフォーマンスと共に多くの若者を魅了してきた。米ビルボード・ミュージック・アワードでは17年、トップ・ソーシャル・アーティスト賞を皮切りに受賞を重ね、21年には4部門を制した。
アメリカン・ミュージック・アワードにアジアのアーティストとして初めてBTSが招待され、パフォーマンスを披露したのも17年だった。翌18年から受賞を重ね、21年には大賞にあたるアーティスト・オブ・ザ・イヤーを含む3冠に輝いた。