メンバーたちは授賞式後、動画アプリ「VLIVE」を通して感想を語り、「悲しむことではない」「大きな意味がある場だった」と励まし合っていた。
一方、「ARMY(アーミー)」と呼ばれるBTSファンのSNS上の反応を見ると、落胆よりもパフォーマンスを称賛する声が目立った。「#OurProudBTS(私たちの誇らしいBTS)」など応援のハッシュタグや、「グラミー賞にはコンサートの前に寄っただけ」という強気のコメントも見られた。8日からラスベガスで開かれるコンサートの方がメインと考えるARMYも少なくないようだ。
BTSは3月にソウルで2年半ぶりの対面のコンサートを開き、3日間で4万5千人が来場した。コロナ感染防止のため来場者数に制限があったが、初日と最終日の公演はライブストリーミングで世界に配信されて102万人が視聴、さらに2日目の公演は世界の映画館で中継され、140万人が観覧した。
視聴率に利用された
ソウルでのコンサートのチケットが取れず、ラスベガスのコンサートを見に行くため渡米した韓国留学中の日本人女性はこう話す。
「受賞しなかったのは残念だけど、パフォーマンスでBTSの実力とカリスマを見ることができたのは良かった。BTSが受賞しなかったことで、権威を失ったのはBTSではなくグラミー賞だと思う」
授賞式では司会者が、動画配信サービス「ネットフリックス」のオリジナルシリーズ「イカゲーム」に出てくる韓国語のセリフを発し、会場の笑いを誘う場面があった。
ポン・ジュノ監督の映画「パラサイト 半地下の家族」や、「イカゲーム」をはじめネットフリックスを通して世界に配信される韓国ドラマなどが米国経由で世界的ヒットとなる流れが続いている。白人中心主義との批判もあったアカデミー賞は近年、人種・民族的マイノリティーなどの多様性を反映するようになり、20年には「パラサイト」が4冠を受賞したことは多様性重視の象徴としても評価された。