現在のYouTubeでは、登録者の人数よりも、「どんな登録者を集めたか」が重要な指標です。前述の「オックーTV」の場合、彼の動画をみて、ファンになり、新着動画も全てチェックするような登録者が集まるのが理想です。興味本位やネームバリューで登録したユーザーは、チャンネルの足かせとなります。YouTubeは集まった登録者が「どんな動画を見てきたか」という履歴を元に、類似の動画や好きそうな動画をサジェストします。
例えば、猫の動画ばかり視聴している人には動物系の動画(実際にはこんなに単純ではありません)など、統計的なデータを元に「好きそうな動画」を勧めます。そのため、チャンネルのコンセプトが重要で、暴露系・炎上系・キッズ系・アニメ・アイドル・Vtuber・ゲーム実況・料理…などと視聴履歴がバラバラの登録者が数多く集まると、そのチャンネルや動画がどんなジャンルなのか判定しづらくなり、ふさわしくない動画の関連動画になったり、インプレッション(露出)されることになります。これが、チャンネルの破壊につながる可能性があります。芸能人のチャンネルの多くが、開設時に何万人という登録者数を抱えてしまうのも、チャンネルにとってはマイナスといえるかもしれません。何万人という登録者がファンになってくれるような面白い動画を出し続けられれば問題はないのですが、それができない場合、動画を投稿するたびに失速していきます。
前述の「オックーTV」が、生き残るためには、登録した3万人の視聴履歴のほとんどを「オックーTV」の動画にするくらいのコンテンツの面白さが求められるのです。このハードルの高さは相当なものです。視聴履歴を全て塗り替えるくらいに面白いコンテンツでなければ、外部流入した登録者をファン化することは難しいのです。過去に成功したチャンネルも存在するため、可能性はゼロではないのですが、YouTube内で普通にチャンネルを伸ばすよりもはるかに難しいことだと思います。「オックーTV」も、このハードルを乗り越え、登録者が最新動画を見続けるようなコンテンツを作ると、飛躍的にチャンネルが成長していくはずです。その時に初めて、「バズってよかったね!」と言えるのです。