小説で答えに近づく
──そして今また、映画監督や俳優によるセクハラが告発されています。
事件が報道されるたびに、加害者サイテー、被害者かわいそう、と思うのは当然かもしれないけど、それで終わってしまっていいのだろうかと考えたのも、この小説を書いた理由のひとつです。
セクハラを許せないと思うことは、ある意味、当たり前のことです。「こんなサイテーなことを、なんで彼はやったんだろう」「SNSで被害者を中傷する人は、なんでそうするんだろう」って私は考えていきたいんです。答えは出ないかもしれないけど、答えに近づくことはできると思う。テーマにかかわらず、私はいつも「なんで」の答えに近づくために小説を書いています。読者にとっても、そういう小説になってくれれば嬉しいです。
(構成/編集部・三島恵美子)
※AERA 2022年4月18日号