佐々木、奥川、宮城、西と並んでドラフト1位でプロ入りを果たしたのが堀田賢慎(巨人)だ。入団直後に右肘の故障が発覚してトミー・ジョン手術を受け、1年目のオフには育成契約となったものの、順調な回復ぶりを見せて今年から再び支配下登録へと復帰。オープン戦でも結果を残して開幕ローテーション入りを果たすと、プロ初登板初先発となった3月31日のヤクルト戦では6回無失点の好投で見事初勝利をマークしている。ストレートの平均球速は140キロ台前半とまだスタミナ面には課題が残るものの、力を入れた時のボールは目を見張る勢いがある。フォークのように鋭く落ちるチェンジアップも決め球として有効なボールだ。体力面が強化されて、使える球種がもう少し増えてくれば近い将来チームのエースとなれる可能性は十分にあるだろう。

 そしてこの年代に好投手が多いのはプロだけではない。社会人野球では河野佳(大阪ガス)が昨年、公式戦(都市対抗予選は除く)7試合に登板して6勝0敗、防御率0.21という圧倒的な成績を残して年間ベストナインを受賞。今年のドラフトで有力な上位候補となっている。また大学3年生でも細野晴希(東洋大)、常広羽也斗(青山学院大)、下村海翔(青山学院大)、西舘勇陽(中央大)、武内夏暉(国学院大)など東都大学野球に好投手が目白押しで、それ以外のリーグでも尾崎完太(法政大)、池田陽佑(立教大)、後藤凌寿(東北福祉大)、松本凌人(名城大)、磯貝和賢(中京大)、赤塚健利(中京学院大)、藤本竜輝(立命館大)、上田大河(大阪商業大)、中沢嶺(龍谷大)、伊藤岳斗(龍谷大)などが既に高い注目を集めている。

 今年の河野を皮切りに来年彼らが一気にプロ入りしてくれば、一大勢力を形成することになる。数年後、先頭を走る佐々木、宮城、奥川の3人に迫る投手がこの中から続々と出てくることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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