15歳、16歳の時にヤンチャをやった。これは、そこからの積み重ねでリカバリーできると思いますし、大事なのは世に出てからの振る舞い。特に売れてからの振る舞いだと思います。そこがダメな人間は芸人としても大成しない。人に愛されませんから。
ここが大事なことは間違いありません。ただね、僕の場合は、いろいろと膨らみすぎたイメージを持たれてるところがあるなとは思っています(笑)。礼儀だとか、人としてのルールにものすごく厳格だと。
確かに、同期の(明石家)さんまや紳助とは色が違ったとは思いますし、だからこそ、いつの間にか風紀委員みたいなことになってきたのかもしれません。人に言う以上は、自分がしっかりせなアカン。ただね、これはこれでしんどいことでもあるんです(笑)。
ホンマはね、エエ加減な人間でいきたかったんですよ。さんまや紳助がうらやましかったところもあります。けど、僕はそれをようせんかったし、仕方ないのかもしれませんね。
だからね、今度生まれ変わったら、法律に触れんくらいのヤンチャはアレコレしたろうと思ってます(笑)。
ま、今からでもヤンチャする選択肢もあるのかもしれませんけど、70歳過ぎていきなりヤンチャになるのも「どうかしたんか……?」と周りがうろたえると思いますし(笑)、それは次の楽しみにしておきたいと思います。(中西正男)
■オール巨人(おーるきょじん)
1951年11月16日生まれ。大阪府出身。本名・南出繁。高校卒業後、MBSテレビ「素人名人会」など視聴者参加演芸番組の常連となり、同じく常連となっていた高田昭徳、後のオール阪神と出会う。吉本新喜劇の岡八朗の弟子となり、吉本興業入り。75年、漫才コンビ「オール阪神・巨人」を結成する。4回の上方漫才大賞、紫綬褒章など受賞・受章多数。2007年からは「M-1グランプリ」の審査員を務める。著書「漫才論」が先月発売された。