egg編集部で編集長(当時)の赤荻瞳さん(中央)と編集部員。部員は20代前半。手を広げたエッグポーズで(撮影/写真映像部・高野楓菜)
egg編集部で編集長(当時)の赤荻瞳さん(中央)と編集部員。部員は20代前半。手を広げたエッグポーズで(撮影/写真映像部・高野楓菜)

■復刊の陰に「オタ活」

 ネットの普及やコロナ禍で雑誌市場は冬の時代だ。出版科学研究所の研究員、水野敦史さん(31)が解説する。

「雑誌の販売金額は1997年をピークに減少し、2021年はピーク時の3分の1ほどの市場規模になりました。さらに、広告収入の減少がコロナ禍で加速しました。紙の販売、広告収入だけでは厳しくなりました」

 なぜ逆風を乗り越える雑誌があるのか。Z世代に詳しいZ総研の道満綾香さん(29)は「テレビや雑誌が情報源だった時代は聖子ちゃんカット、アムラーなどみんなが一つの風潮を好む傾向にありました。しかしSNSが発達したいま、選択肢が増えたため、おのおのが自分の好みを貫き通すことができるようになりました」という。

 好きを突き詰める「オタ活」がSNSで“同志”を見つけやすくなり、恥ずかしくなくなったことも関連しているという。

「大衆ウケしそうなファッション誌よりも、ひとクセある雑誌の方がZ世代にマッチするようです。昔は『雑誌=流行を知る場所』でしたが、今では『雑誌=秘密基地、自分だけのバイブル』といった感覚になってきたのではないでしょうか」

“ガーリー系”で一世を風靡(ふうび)した「LARME(ラルム)」は20年に休刊したが、同年中に復刊を果たした。「地雷系」と呼ばれる赤系のアイシャドーで泣きはらしたような目、黒やピンクのワンピース姿のガーリーな女性を特集して話題になった。

 4月上旬、渋谷であったイベントに参加した都内の大学生の女性(20)は、地雷系で身を固めていた。「いつもはCanCamを読んで、それっぽい服を着て浮かないようにしています。でも大事なイベントの日は地雷系。これを着ていると、かわいくて自分に自信が持てます」

■紙の部数は追わない

 LARMEは復刊したものの、雑誌の売り上げにはこだわらないという。編集長の中郡暖菜さん(36)は「ほとんど広告も入れていません。読者を減らしたとしても、もっとクオリティーを上げて、世界観をつくっていきたいです」と話す。

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